別に好きじゃなかった。ツボがいまいち分からんし、ずれてる。
でも、笑顔は可愛かったかな。声も好きだった。
ただ、出会いがあって、持ってるトークスキルを駆使するだけで喜んでくれたから、たまたま一緒に居た。
誰だって、自分に興味を持ってる人のことは好きになる。
でも、またどろどろに依存されるのは懲り懲りだから、連絡も薄めに、興味を持たれても反応薄めにした。
そもそも連絡は得意な方じゃない。内容のない会話は好きじゃない。適当な扱いをしていた。
トークスキルだけで作り上げた偽りの人格で一緒に居ただけだから、
期待ほどの、大層なデートプランだって作れる人間じゃないし、エスコートだってダメダメだ。
ノープランでデートなんてしたもんだから、愛想尽かして離れていってしまった。
住んでる場所に距離もあるし、タイプじゃないから、ふって貰える様に仕向けたというところだ。
もちろん、正々堂々万全を期して臨んだって、付き合えたかどうかは分からないけど。
ただ、俺は、「付き合いたくない」という意思表示を忍ばせて、彼女と話していた。
この子と付き合っても、やっぱり将来苦労しそう。
空白の休日を過ごす。
3年前に患ったパニック障害(自称)が発生した。
誰かと話したくても、話す相手が居ない。という状況的脅迫に混乱して、恐怖に陥った。
誰に電話をしても、つながらないかもしれない。近くに誰もいない。
自分の言葉を聞いて、話してくれる人は、今、この場に、誰もいない。
他のみんなは誰かと一緒に居るのに、自分だけ一人だ。
冷静になって考えれば、別に誰かと話す必要なんてないし、だからって死ぬわけでもない。
それが大変な不利益を生むわけでもないし、同じ状況の人だって沢山いる。
そんなこと、分かってるはずなのに、冷静になれない。これはパニック障害としか言いようがなかった。
精神科に行ったら、割とガチで診断されるんじゃないか。
原因は分かってる。
3年前、好きな女性がいて、その女性は、自分とルームシェアしている親友に恋をしている状況で、
その二人がセットで自分のパーソナルスペースに住み着いていた。
状況的圧迫。好きだから、その女性を適当に扱えない。辛くても二人と会話しなければいけない。
逃げたくても、逃げ帰った場所に、その二人が居る。
二人が暫くどこかに行ったからって安定するかと思ったら、今度は話す相手が居ないことでパニックになった。
一人になりたかったのに、一人になったら、パニックになった。
たぶん、状況的圧迫の”ぶり返し”が、変な形で症状化してる。
今回も、そんな感じだろう。状況的な圧迫。とまではいかないが、色恋沙汰で選択を迫られたわけだ。
その圧迫がもう来ないと分かったから、”ぶり返し”が始まった。
ということは、多少なり、俺は、彼女に、恋をしていたんだろうか。
嫌だったら、そもそも会ったりしないし、連絡だって音信不通で良い。
嫌ではなかった。都合よく、程度よく、付き合えればいいと、そう考えていたんだろう。
会いに行くときは、それなりに楽しみだった。
きっと、薄めの対応でも、付き合ってくれるような子かどうか試していたんだ。
試した上で、駄目だったんだから、仕方ないじゃないか。
でも、どうにかならないものだろうか。
自分で望んだはずなのに、離れて行ったらそれはそれで寂しいとか。
面倒くさいにも程がある。
俺はいつも、接近に恐れて、距離が開いてから恋をする。
依存される事を拒んでいるわりに、一緒にいたいと願う。
どうやら、汚れきっている割に、心が潔癖症だ。
誰かに、一緒にいて、よく知って欲しいけど、俺のことは好きにならないでほしい。
そういうことだろうか。
別々のまま、一緒にいたい。
そんなことは、可能なんだろうか。
とにかく、何度も恋をしてみるしかないのかな。
やばいときは、モヤモヤさまぁ〜ずを見るか、文章を打っていれば落ち着く。
小説でも書けば良いんだよ。
河上 貴翔 -kisho kawakami- -